サルビアの育てかた
「ボクだけじゃないですよ」
「えっ?」
「ジャスティン先生もフレア先生もモラレスさんも、それに他のスタジオ仲間も。みんな、ヒルス先生とレイさんのことを応援しています」

 静かな口調ではあるが、ロイははっきりとそう述べた。
 皆の顔を思い浮かべると、俺は尚更胸が痛めつけられる。
 俺たちは良き仲間たちに見守られながらここまで来た。
 正直、俺はレイのことになると臆病になるし思考が消極的になってしまう。どうしようもないヘタレ野郎だ。彼女を失いたくない、レイのそばから離れたくない。考えすぎて、愛しすぎて、溢れて止まらない想いが、俺たち二人の関係を乱してしまっているのかもしれない。

 彼女の幸せを守れない今の俺の姿を見たら、父と母はきっと呆れるだろう。
 だけどもう、どうしていいか分からないんだ。あんなにハッキリと二人の未来はないような言い方をされてしまっては。
 胸の上でいつもは輝き続けているはずの十字架すらも、あの日以来光を失ったみたいに感じてしまう。
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