サルビアの育てかた
 でもね、一生に一度になるだろう自分のドレス姿に恥ずかしがっている場合じゃない。シスターにちゃんと伝えなきゃいけないことがあるから。

「あの、シスター」
「何ですか」
「ありがとうございます。院の教会を貸していただいて。やはり……迷惑でしたよね?」

 孤児院の教会で挙式をする為の貸し出しは、普段はしていないと聞いた。
 これは完全に私のわがままだ。どうしても、シスターの教会で式を挙げたかった。捨てられた私が、もう一度生まれ変わった特別な場所だから。

 謝罪する私の手をそっと握り、シスターはいつものあたたかい表情で言ってくれるの。

「レイちゃんのその想いが嬉しいんです。大切な日を、ここで過ごしてもらいたかったからいいんですよ」
「……シスター」
「本当に、おめでとう。幸せになってね」

 シスターが贈ってくれたその言葉に、私は大きく頷く。
 どこまでも優しくしてくれるシスターは、私の恩人であり、名付け親であり、大好きな人。今日というこの日を、彼女が見守ってくれる中迎えることが出来て心から良かった。
 感極まり、思わず涙が流れそうになった。せっかく綺麗にお化粧してもらったのに崩れちゃう。
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