サルビアの育てかた
 俺とシスターは外に出て、会場の少し離れた場所へ移動した。

「大きくなりましたね、ヒルス。見違えましたよ」
「シスター、すみません。全然気付けなくて……」
「いいんですよ、わたしも歳を取りましたから」

 シスターと最後に会ったのは十年くらい前だ。落ち着いた口調と優しい雰囲気は昔と変わらないが、彼女はいつも修道服を着ていたから私服の今日は雰囲気がまるで違う。

「俺のことよく覚えていましたね」
「孤児の子たちを引き取ってくれた方々のことは忘れませんよ。それにあなたは、大人になっても子供の頃の面影があります。ヒルスがあんなにダンスが上手だなんて驚きました。子供たちも、とても楽しそうに見ていましたよ」
「ありがとうございます」

 子供だらけのステージで踊ったのは今回が初めてだが、会場は今までにない盛り上がりで俺は新鮮な気持ちになっていた。

 シスターはまっすぐ俺の目を見ながらゆっくりと口を開く。

「……レイちゃんは、お元気ですか?」
「はい、元気でやってますよ。反抗期もすごいですが」
「そうですか。大変な時期でしょうが、彼女が元気なら何よりです」

 シスターは安堵したように頷く。
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