サルビアの育てかた
「いや、俺は別に何も……急にどうしたんですか」
「あの子は孤児の中でも、とくに辛く悲しい過去があります。レイちゃんには絶対に、幸せになって欲しいのです……」
「辛い過去?」
「私の院に来るのは、子を望まない親に生み落とされた可哀想な子たちばかりです。中には未婚の母が出産後すぐに亡くなってしまい、取り残されてしまった赤ちゃんが私の所へ来るケースも稀にあります。ですが、殆どの子は親に捨てられました。……レイちゃんもその一人ですよ」
──レイが生みの親に捨てられた。
なんとなく、想像はしていた。だが改めて聞かされる事実に、俺は絶句してしまう。口が乾き、ショックのあまり動悸がした。
シスターは神妙な面持ちで、レイの生まれて間もない頃の話を始めるんだ。
「あれは──いつかの早朝のことです。珍しく雪が降り積もる日でした。院の外から仔猫が鳴くような、か弱い声が聞こえてきたのです。絶え間なくなき声がするので気になって外へ出てみると、門の前に見覚えのない小さなダンボール箱が置かれていました」
どこか暗い声になりつつも、シスターは昔を思い出すように語り続ける。
俺は続きを聞くのが怖くなり、思わず耳を塞ぎたくなってしまう。
「箱には雪が積もっていました。開ける前は猫が捨てられてしまったのかと思っていたのですが。中を開けて見てみると、そこには裸の赤ちゃんが力なく泣いていたのです。……それが今のレイちゃんです。抱き上げると、身体は氷のように冷たくなっていました」
「あの子は孤児の中でも、とくに辛く悲しい過去があります。レイちゃんには絶対に、幸せになって欲しいのです……」
「辛い過去?」
「私の院に来るのは、子を望まない親に生み落とされた可哀想な子たちばかりです。中には未婚の母が出産後すぐに亡くなってしまい、取り残されてしまった赤ちゃんが私の所へ来るケースも稀にあります。ですが、殆どの子は親に捨てられました。……レイちゃんもその一人ですよ」
──レイが生みの親に捨てられた。
なんとなく、想像はしていた。だが改めて聞かされる事実に、俺は絶句してしまう。口が乾き、ショックのあまり動悸がした。
シスターは神妙な面持ちで、レイの生まれて間もない頃の話を始めるんだ。
「あれは──いつかの早朝のことです。珍しく雪が降り積もる日でした。院の外から仔猫が鳴くような、か弱い声が聞こえてきたのです。絶え間なくなき声がするので気になって外へ出てみると、門の前に見覚えのない小さなダンボール箱が置かれていました」
どこか暗い声になりつつも、シスターは昔を思い出すように語り続ける。
俺は続きを聞くのが怖くなり、思わず耳を塞ぎたくなってしまう。
「箱には雪が積もっていました。開ける前は猫が捨てられてしまったのかと思っていたのですが。中を開けて見てみると、そこには裸の赤ちゃんが力なく泣いていたのです。……それが今のレイちゃんです。抱き上げると、身体は氷のように冷たくなっていました」