暇な治療院
 時々、生徒の盗撮をしたって教師が逮捕されたニュースを聞く。 情けないなって思う。
それだけ女と付き合ったことも向き合ったことも無い人たちなんだなあ。 考えさせられるよ。
 なぜそうなるのか? 教員免許を取るまで勉強勉強って押し込んできたからさ。 だから心にも余裕が無い状態で教師になる。
そいつの目の前に第二次性徴真っ盛りの女の子が何人も現れればどうなる? ムラムラ爆発だよ。
 それまで抑え込んできた物が一気に爆発するんだ。 自分でも止められないよ。
それで事件を起こすとそいつだけが攻められる。 環境は何も変わらない。
そんなのが続けば教師になりたいやつも減ってくる。 それが今だよ。
それでも文科相も教育委員会も大学も親たちもまるで変わろうとはしない。
真面目にやってきた人たちだけが馬鹿を見る。 不条理極まりない世界になっちまったもんだね。

 不条理と言えば我がマッサージ業界にだって不条理は存在する。
開業する前はぼくも訪問マッサージの業者に勤めていた。
務めるって言えるほど仕事が有ったわけじゃないんだけどなあ。
 その業者に大きな老人ホームからの仕事が舞い込んできた。
行ってみるとマッサージというよりはリハビリだ。 当時、一緒に動いていたドライバーに聞いた。
 「なんかさあ、代表と吉岡が「俺たちなら出来ます。 何でもやれます やります。」って言って拾ってきたんだって。」
ぼくは正直、(アホか。)って思った。
 ぼくらはマッサージ師であって理学療法士ではない。
それをだな、「何でもやります。 何でも出来ます。」って出まかせを言って仕事を貰ってくるなんてどうかしている。
 案の定、仕事はすぐに終わった。 些細な理由だった。
当時はコロナ下でpcr検査が義務付けられていた。
ぼくとドライバーの時間が合わなくてpcr検査を受けられなかったんだ。 それを報告したら仕事を無期限で停止されてしまった。
 元はと言えば代表の沼田とドライバーの吉岡が嘘を吐いて貰ってきた仕事。
終わって当然だと思った。
 業界のことも施術者のことも何も分かってない人が代表になると悲劇が連続する。
こういう世間知らずな代表のことを殿様社長と呼んでいる。
 本人は「俺は殿様社長なんかじゃない。」って弁明していたけどやっていることは殿様社長そのものだったね。
(こいつも救い用は無いな。) そう思ったからぼくは縁を切ったんだ。
 施術者が3人、ドライバーが一人っていう訪問マッサージ業者ならではの治療院だったな。
 それからすれば今は楽だよ。 周りに気を使わなくていいんだもん。
仕事を増やさないと食べていけなくなるからそれは大変だけどね。

 夜になるといつものように日本酒を出してきて刺身を摘まみながら飲むんだ。
絞ってない本物の濁酒だからねえ、飲んでいるとググっと攻めてくる。
でもいくら飲んでも酔わないんだよなあ。 いい酒を見付けたわ。
< 25 / 31 >

この作品をシェア

pagetop