国の擬人化達との同居生活
第四章、文化祭準備と文化祭
どんっ!
向こうから走ってきた人と、肩がぶつかった。
「うわっ!」
私はリュックの重さに負けて、見事にひっくり返る。
「おっと、すまねぇ」
「私の方こそ道の真ん中で、すみません」
ぶつかった少年が手を差し伸べてくれた。
少年は青髪の男の子で、金色の装飾が施された深緑色の軍服のような服を着ている。襟元にはネクタイの代わりに鉄十字。
「お前、、、三原菜羽だろ」
「え、、、」
(怖い怖い怖い怖い怖い)
何で私のこと知ってるの!?もしかしてストーカー!?
「あ、いやそういう訳じゃねぇ。お前の家に日本いるだろ。そいつの友達だ」
日本くんのことを知ってる、、、?だとしたらもしかしてこの子も擬人化男子?
でも、この子を描いた覚えないしなぁ、、、。
それに、口調が何か不良っぽい。
「全部聞こえてんぞ」
「スミマセン!!」
「俺はプロイセン。、、、って知らないか」
「プロイセン?」
「元々はドイツ北部からポーランド西部にかけて領土を持ってたんだが、WW1でドイツが負けてプロイセン王国はプロイセン自由州になった。しかし、WW2で負けてプロイセン自由州は連合国に解体されちまったんだよ、、、。プロイセンは軍事国家の象徴だったからな、存在すら許されなかったんだと」
「そうなんですね、、、でも、私はプロイセンくんを描いた覚えないけど、、、」
「それは、、、あれだ。えっと、、、ゲルマンパワーで何とか」
「ゲルマンパワー、、、?」
「まぁ、、、あとは、ひとりぼっち楽しすぎるぜ状態にはなりたくないんだぜ!」
街中で叫ぶプロイセンくん。その容姿とあの叫びで何だ何だと人の注目を集めてしまっている。
「とりあえず、どこかの店に入りましょ!!」
押し込む勢いで近くのファミレスに入店する。
席に着くと、お冷が運ばれてくる。
そして、店員さんが去った瞬間、プロイセンくんは早口で言い出した。
「ここ最近、イギリスもフランスもつるみ悪りぃしよぉ、、、日本だってしら〜ってしてるし、、、」
「えっと、、、つまり」
平たく言えば、ただ『ボッチになりたくない』ということのようで、、、。
「だからロシアにちょっかいをかけようとモンゴルを誘っても拒否られるし」
「うわー、、、」
「暇だったからドイツ軍の訓練兵を集めて直々に教育していたんだが、、、」
「きょ、教育とはどんな、、、?」
「雪中行軍、水や泥の環境下での訓練、対尋問訓練、形式化学、戦術の基礎と応用、武器の性質と応用、、、だな。菜羽もするか?」
「結構です!!」
そう拒否したのに次の瞬間、私は知らない場所にいた。どうやら運動場みたいな場所に突っ立っている。
プロイセンくんの姿を探したが、近くにいない。
「な、、、何で、、、?」
待って、ここどこ!?
運動場のような場所では、数人の男性達が走っている。
そして、その人達に指示を出しているプロイセンくん。
「大佐殿!!マルコが気を失っています!」
一人の男性が大声でプロイセンくんに呼びかける。傍には倒れている男性が一人。倒れているなら、休ませてあげないと、、、
「アァ?水かければ起きるだろ、起こせ」
しかし、プロイセンくんはしらっととんでもない指示を出した。
「Ja!!」
水をかけられたマルコさんは何とか目を覚ました。
ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、同僚の様子を見た人がプロイセンくんの方へ向かう。
「大佐殿!意見具申を!」
「何だ言ってみろ。聞くだけなら聞いてやる」
「そろそろ終わりにしませんか?訓練兵がもう限界です!」
「、、、、、、まだそんなことが言える余裕があるとはなァ。んな減らず口叩ける暇があるならもう一回いけるよな。追加だ」
「そんな、、、ご再考を!」
「人はそんな簡単には死なねぇよ。本当に死にそうなら俺に意見を言える程の頭がないはずだからなァ。言いたいこと分かるよな?」
「、、、Ja!」
(、、、鬼!!)
ファミレスで話していた時と全然違う!!もう、魔王だよ!!
終わる頃には、全員倒れて動ける者はいなかった。
どうして文句を言わないのか聞くと、曰く、自分達より苛烈なメニューをこなしているので文句を言う人は誰もいないとのことで。みんなプロイセンくんに憧れており、畏怖の念を抱いているのだとか。
「魔王みたいだった」
「マジであのお方は容赦ない、、、」
と、訓練兵達は口を揃えてそう言う。
「でも、あの厳しさは大佐の優しさだから」
「え?」
「軍人は国民や祖国を守る為に強くならなければいけない。わざと厳しくしているんだよ」
「訓練課程が全て終われば、飲みに行ってくれるからな!しかも、大佐の奢りで」
「わーお、、、」
なんて会話をしていると、怖い笑みを浮かべている日本くんに胸ぐらを掴まれているプロイセンくんを発見した。
「プロイセン、勝手に日本国民を誘拐しないでほしいですね」
「えっと、、、日本くん?」
恐る恐る日本くんに声をかけると、パッと手を離し、こっちを向いた。ニコニコと優しい笑みを浮かべている。
「菜羽さん、少し待っていて下さいね」
普段背負っている竹刀袋から刀を取り出し、プロイセンくんに向けていつでも抜刀出来るように構えてる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!―――ってか、知り合いなんですか!?」
「ええ。昔はよくお世話になりました」
「じゃあその今にも抜刀しそうな刀をどうにかしてくれ」
「、、、」
日本くんはしばらくプロイセンくんを凝視していたが、刀を竹刀袋に入れ、肩にかけてくれた。
「日本くん、プロイセンくんの昔話聞きたいです!」
「おい!」
「良いですよ」
「日本も乗るなよ、、、」
「あれは確か―――」
執務机には書類が山のように積まれて雑然としている。
その部屋には二人の男が向かい合って座っていた。
書類の山から一枚取り出し、文を目で追う。
「軍事に法政、医療に化学に教育、地質学の次は哲学、、、ちょっと俺を頼りすぎじゃね?」
「ドイツ語はオランダ語に近いですから、国民が翻訳しやすいんですよ」
「うわっ、かわいくねー!」
男はうんざりした表情で、ぞんざいに書類を投げ出し、ガシガシと首を掻く。
「つーか日本、海軍はずっとイギリス式だけど陸軍は前までフランス式だったよな」
「そうですね。”富国強兵”これが今の国策なのです。強国を模範に強くならなければ。その為なら非情にだってなりましょう。それに、、、元より”国”に感情は必要ないでしょう?」
「富国強兵、、、ね。掲げるのは良いが、ちゃんと国民達の負担も考えてやれよ」
「、、、分かっていますよ。プロイセン」
頬ずえをつき、窓の外を眺める。
ここ最近で一気に欧米化が進み、昔ながらの江戸の雰囲気は少なくなっていった。建物は次々と新しく洋風に建て替えられ、舗装された道やガス灯などもどんどん増えて、人々の装いの流行も目まぐるしく変化していく一方、日比谷には鹿鳴館が建ち、夜会による風紀の乱れが問題視されている。
「今は欧米化だの鹿鳴館だの物珍しさも相まって浮かれてるが、日本の国民にドレス一着で六十万円もかけられる子は少ないだろ。ま、プロイセンのとこも少ねーけどな」
プロイセンはケラケラと笑いながら街中を歩く袴姿の女学生を眺め、手を止める。
「学生か?」
「ええ。府内の女学校に通う生徒です」
「良い国じゃねぇか。ま、プロイセンも良い国だけどな!」
プロイセン。ドイツ北部からポーランド西部にかけて位置するプロイセン王国の化身であり、軍事力と官僚制度に力を入れている。プロイセンの憲法は君主権力が強く、議会の権限が弱いのが特徴。それを参考にして我が国の『大日本帝国憲法』が生まれた。
この男の言うことも一理正しい。
国民の負担を減らせず、国が豊かじゃなくなれば、きっと帝国は崩壊するだろう。そして、他の国の支配下に置かれる。
支配下に置かれれば、男性は殺されるか奴隷のような扱いを受け、女子供は何されるか分かったもんじゃない。
「おーおー、あんま根詰めんなよ」
「うるさいです。少し黙って下さい」
「、、、なぁ。聞いた話なんだが、日本に有利な条件で朝鮮を開国させたって本当か?」
手が止まった。
プロイセンを見る。
真剣な目付きだった。まるで、『アメリカと同じことをしている』とでも言いたげな目だ。
「ええ。それが何か」
「、、、朝鮮も大変だな」
プロイセンはそう呟き、また書類に目を通す。
確かに朝鮮には『江華島事件』を口実に不平等条約を結び、半ば強制的に開国させたが、、、これもまた、列強に負けぬようにする為の必要な犠牲だった。
何かを得るには何かを失う必要がある。
代償のない栄光など存在しない。
カチカチカチ。時計の針の音が響く。明治の世にはまだ珍しい飴色の振り子時計だ。
「よし、飲みに行こうぜ!」
唐突にそう言い出したプロイセンを睨む。
「は?何を言っているんですか」
処理し終わった書類をまとめ、帰り支度を始める。
お前が帰らないなら自分が帰る。と立ち上がったが、前方にプロイセンが立ち塞がる。
先程の真剣な顔とは変わって、ニマニマと腹の立つ表情を浮かべている。
「日普修好通商条約を結んだ仲だろ〜なぁなぁ!」
「いい加減にして下さい。斬られたいですか?」
今は飲みに行っている場合じゃない。早く列強と対等な関係にならなければ。
机に立て掛けていた竹刀袋に触れる。
「この際、パーっと飲んじまおうぜ?"戦争"になればそんな余裕はなくなるんだからよ」
「、、、ハァ、分かりました」
「Danke」
「―――とまぁ、プロイセンとの関係はこんな感じです」
「俺の活躍聞きたかったらいくらでも話してやるんだぜ!!」
ケラケラと笑うプロイセンくん。
話を聞く限り、日本くんって怒らせたらヤバい人なのでは、、、?と思ってしまう。
向こうから走ってきた人と、肩がぶつかった。
「うわっ!」
私はリュックの重さに負けて、見事にひっくり返る。
「おっと、すまねぇ」
「私の方こそ道の真ん中で、すみません」
ぶつかった少年が手を差し伸べてくれた。
少年は青髪の男の子で、金色の装飾が施された深緑色の軍服のような服を着ている。襟元にはネクタイの代わりに鉄十字。
「お前、、、三原菜羽だろ」
「え、、、」
(怖い怖い怖い怖い怖い)
何で私のこと知ってるの!?もしかしてストーカー!?
「あ、いやそういう訳じゃねぇ。お前の家に日本いるだろ。そいつの友達だ」
日本くんのことを知ってる、、、?だとしたらもしかしてこの子も擬人化男子?
でも、この子を描いた覚えないしなぁ、、、。
それに、口調が何か不良っぽい。
「全部聞こえてんぞ」
「スミマセン!!」
「俺はプロイセン。、、、って知らないか」
「プロイセン?」
「元々はドイツ北部からポーランド西部にかけて領土を持ってたんだが、WW1でドイツが負けてプロイセン王国はプロイセン自由州になった。しかし、WW2で負けてプロイセン自由州は連合国に解体されちまったんだよ、、、。プロイセンは軍事国家の象徴だったからな、存在すら許されなかったんだと」
「そうなんですね、、、でも、私はプロイセンくんを描いた覚えないけど、、、」
「それは、、、あれだ。えっと、、、ゲルマンパワーで何とか」
「ゲルマンパワー、、、?」
「まぁ、、、あとは、ひとりぼっち楽しすぎるぜ状態にはなりたくないんだぜ!」
街中で叫ぶプロイセンくん。その容姿とあの叫びで何だ何だと人の注目を集めてしまっている。
「とりあえず、どこかの店に入りましょ!!」
押し込む勢いで近くのファミレスに入店する。
席に着くと、お冷が運ばれてくる。
そして、店員さんが去った瞬間、プロイセンくんは早口で言い出した。
「ここ最近、イギリスもフランスもつるみ悪りぃしよぉ、、、日本だってしら〜ってしてるし、、、」
「えっと、、、つまり」
平たく言えば、ただ『ボッチになりたくない』ということのようで、、、。
「だからロシアにちょっかいをかけようとモンゴルを誘っても拒否られるし」
「うわー、、、」
「暇だったからドイツ軍の訓練兵を集めて直々に教育していたんだが、、、」
「きょ、教育とはどんな、、、?」
「雪中行軍、水や泥の環境下での訓練、対尋問訓練、形式化学、戦術の基礎と応用、武器の性質と応用、、、だな。菜羽もするか?」
「結構です!!」
そう拒否したのに次の瞬間、私は知らない場所にいた。どうやら運動場みたいな場所に突っ立っている。
プロイセンくんの姿を探したが、近くにいない。
「な、、、何で、、、?」
待って、ここどこ!?
運動場のような場所では、数人の男性達が走っている。
そして、その人達に指示を出しているプロイセンくん。
「大佐殿!!マルコが気を失っています!」
一人の男性が大声でプロイセンくんに呼びかける。傍には倒れている男性が一人。倒れているなら、休ませてあげないと、、、
「アァ?水かければ起きるだろ、起こせ」
しかし、プロイセンくんはしらっととんでもない指示を出した。
「Ja!!」
水をかけられたマルコさんは何とか目を覚ました。
ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、同僚の様子を見た人がプロイセンくんの方へ向かう。
「大佐殿!意見具申を!」
「何だ言ってみろ。聞くだけなら聞いてやる」
「そろそろ終わりにしませんか?訓練兵がもう限界です!」
「、、、、、、まだそんなことが言える余裕があるとはなァ。んな減らず口叩ける暇があるならもう一回いけるよな。追加だ」
「そんな、、、ご再考を!」
「人はそんな簡単には死なねぇよ。本当に死にそうなら俺に意見を言える程の頭がないはずだからなァ。言いたいこと分かるよな?」
「、、、Ja!」
(、、、鬼!!)
ファミレスで話していた時と全然違う!!もう、魔王だよ!!
終わる頃には、全員倒れて動ける者はいなかった。
どうして文句を言わないのか聞くと、曰く、自分達より苛烈なメニューをこなしているので文句を言う人は誰もいないとのことで。みんなプロイセンくんに憧れており、畏怖の念を抱いているのだとか。
「魔王みたいだった」
「マジであのお方は容赦ない、、、」
と、訓練兵達は口を揃えてそう言う。
「でも、あの厳しさは大佐の優しさだから」
「え?」
「軍人は国民や祖国を守る為に強くならなければいけない。わざと厳しくしているんだよ」
「訓練課程が全て終われば、飲みに行ってくれるからな!しかも、大佐の奢りで」
「わーお、、、」
なんて会話をしていると、怖い笑みを浮かべている日本くんに胸ぐらを掴まれているプロイセンくんを発見した。
「プロイセン、勝手に日本国民を誘拐しないでほしいですね」
「えっと、、、日本くん?」
恐る恐る日本くんに声をかけると、パッと手を離し、こっちを向いた。ニコニコと優しい笑みを浮かべている。
「菜羽さん、少し待っていて下さいね」
普段背負っている竹刀袋から刀を取り出し、プロイセンくんに向けていつでも抜刀出来るように構えてる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!―――ってか、知り合いなんですか!?」
「ええ。昔はよくお世話になりました」
「じゃあその今にも抜刀しそうな刀をどうにかしてくれ」
「、、、」
日本くんはしばらくプロイセンくんを凝視していたが、刀を竹刀袋に入れ、肩にかけてくれた。
「日本くん、プロイセンくんの昔話聞きたいです!」
「おい!」
「良いですよ」
「日本も乗るなよ、、、」
「あれは確か―――」
執務机には書類が山のように積まれて雑然としている。
その部屋には二人の男が向かい合って座っていた。
書類の山から一枚取り出し、文を目で追う。
「軍事に法政、医療に化学に教育、地質学の次は哲学、、、ちょっと俺を頼りすぎじゃね?」
「ドイツ語はオランダ語に近いですから、国民が翻訳しやすいんですよ」
「うわっ、かわいくねー!」
男はうんざりした表情で、ぞんざいに書類を投げ出し、ガシガシと首を掻く。
「つーか日本、海軍はずっとイギリス式だけど陸軍は前までフランス式だったよな」
「そうですね。”富国強兵”これが今の国策なのです。強国を模範に強くならなければ。その為なら非情にだってなりましょう。それに、、、元より”国”に感情は必要ないでしょう?」
「富国強兵、、、ね。掲げるのは良いが、ちゃんと国民達の負担も考えてやれよ」
「、、、分かっていますよ。プロイセン」
頬ずえをつき、窓の外を眺める。
ここ最近で一気に欧米化が進み、昔ながらの江戸の雰囲気は少なくなっていった。建物は次々と新しく洋風に建て替えられ、舗装された道やガス灯などもどんどん増えて、人々の装いの流行も目まぐるしく変化していく一方、日比谷には鹿鳴館が建ち、夜会による風紀の乱れが問題視されている。
「今は欧米化だの鹿鳴館だの物珍しさも相まって浮かれてるが、日本の国民にドレス一着で六十万円もかけられる子は少ないだろ。ま、プロイセンのとこも少ねーけどな」
プロイセンはケラケラと笑いながら街中を歩く袴姿の女学生を眺め、手を止める。
「学生か?」
「ええ。府内の女学校に通う生徒です」
「良い国じゃねぇか。ま、プロイセンも良い国だけどな!」
プロイセン。ドイツ北部からポーランド西部にかけて位置するプロイセン王国の化身であり、軍事力と官僚制度に力を入れている。プロイセンの憲法は君主権力が強く、議会の権限が弱いのが特徴。それを参考にして我が国の『大日本帝国憲法』が生まれた。
この男の言うことも一理正しい。
国民の負担を減らせず、国が豊かじゃなくなれば、きっと帝国は崩壊するだろう。そして、他の国の支配下に置かれる。
支配下に置かれれば、男性は殺されるか奴隷のような扱いを受け、女子供は何されるか分かったもんじゃない。
「おーおー、あんま根詰めんなよ」
「うるさいです。少し黙って下さい」
「、、、なぁ。聞いた話なんだが、日本に有利な条件で朝鮮を開国させたって本当か?」
手が止まった。
プロイセンを見る。
真剣な目付きだった。まるで、『アメリカと同じことをしている』とでも言いたげな目だ。
「ええ。それが何か」
「、、、朝鮮も大変だな」
プロイセンはそう呟き、また書類に目を通す。
確かに朝鮮には『江華島事件』を口実に不平等条約を結び、半ば強制的に開国させたが、、、これもまた、列強に負けぬようにする為の必要な犠牲だった。
何かを得るには何かを失う必要がある。
代償のない栄光など存在しない。
カチカチカチ。時計の針の音が響く。明治の世にはまだ珍しい飴色の振り子時計だ。
「よし、飲みに行こうぜ!」
唐突にそう言い出したプロイセンを睨む。
「は?何を言っているんですか」
処理し終わった書類をまとめ、帰り支度を始める。
お前が帰らないなら自分が帰る。と立ち上がったが、前方にプロイセンが立ち塞がる。
先程の真剣な顔とは変わって、ニマニマと腹の立つ表情を浮かべている。
「日普修好通商条約を結んだ仲だろ〜なぁなぁ!」
「いい加減にして下さい。斬られたいですか?」
今は飲みに行っている場合じゃない。早く列強と対等な関係にならなければ。
机に立て掛けていた竹刀袋に触れる。
「この際、パーっと飲んじまおうぜ?"戦争"になればそんな余裕はなくなるんだからよ」
「、、、ハァ、分かりました」
「Danke」
「―――とまぁ、プロイセンとの関係はこんな感じです」
「俺の活躍聞きたかったらいくらでも話してやるんだぜ!!」
ケラケラと笑うプロイセンくん。
話を聞く限り、日本くんって怒らせたらヤバい人なのでは、、、?と思ってしまう。