国の擬人化達との同居生活
日本くんは私が文化祭の準備の為、買い出しに行く途中でいなくなったので探しに来たということ。
ちなみに私のクラスの出し物は創作劇と出店でスイーツ販売。
「まぁプロイセンには色々聞きたいことは沢山ありますが、、、菜羽さん、帰りましょうか」
「待て待て、その面白そうなやつ俺も参加したいんだぜ!」
目を輝かせながら身を乗り出す。しかし、日本くんは制服のポケットからスっと何かを取り出した。
どうやら写真のようで、プロイセンくんの周りにはさっきの訓練兵の人達。手にはビールのジョッキを持って肩を抱き合っている。
「こ、これは、、、?」
「去年のオクトーバーフェストでべろんべろんに酔っ払ったプロイセンです」
「まだ持ってたのかよ、、、恥ずかし」
プロイセンはキャーと顔を手で覆い隠す。
曰く、オクトーバーフェストとは九月から十月にドイツで毎年行われるビールの祭典(さいてん)とのこと。ビールを飲んで、ドイツの伝統料理などを食べて、歌って踊るんだって。
「あの、さっきから気になっていたんですけど、ドイツさんっているんですか?」
ふと、気になっていたことを聞いてみた。プロイセンくんが亡国なのにいること、ドイツくんがいないこと。プロイセンくんもいるならドイツくんもいるんじゃね?って考えていた。
そしたら、プロイセンくんは待ってましたとばかりにスっと手を挙げた。
「え?」
「さっきも言っただろ?ドイツはプロイセン()が統一したって」
、、、そうだっけ?初めて聞いた。
「プロイセンとしての俺は解体されたが、心配になくてもドイツとしての俺は生きているんだぜ!って言ってもそんな珍しくもないんだぜ?イタリアも昔はローマ帝国だったし、ロシアだってソ連だったからな」
ドカッと私の隣の石段に腰掛け、日本くんから渡されたホットドックを頬張る。
「まー、ドイツって呼んでもプロイセンって呼んでもどっちでも良いぜ。好きに呼んでくれ」
結論、プロイセンくんとドイツは同一人物だった。
「さーて、ドイツ観光に行くか!」
パンっと手を叩くプロイセン兼ドイツくん。、、、なんて呼ぼう。
「え〜っと、、、プロイセン兼ドイツくん?」
「呼び名が決まらないならゲーテって呼んでくれても良いぜ」
ニカッと太陽のような笑みを浮かべるプロイセン兼ドイツくん。ならゲーテくんと呼ぼう。
「よーし、俺の呼び名も決まったし、俺も手伝うぜ。文化祭準備」
何故かやる気満々のゲーテくん。
「プロイセンは学生じゃないでしょう、、、」
日本くんが苦笑いで呟く。
「で、何を出すんだ?ソーセージか?それともソーセージか?」
「違います、劇です」
「おぉ〜!良いなそれ」
ゲーテくんがハハハと笑ったところで、日本くんのスマホが鳴った。
メッセージ通知がチラッと見えたけど、中国くんからだった。
『見付かったなら早く帰って来るある!』
だって。
日本くんはそれを見てニコリと微笑んで手を叩いた。
そして私達は「よし、じゃあ帰りましょう!!」と笑い合った。
「その前にフランスさんを拾っていきますね」
「あ、俺はパス。訓練兵の訓練で忙しいんだ」
「では来るなら文化祭の日に一般客として来て下さい」

放課後、クラスメイト達と協力してダンボールを切ったり色を塗ったりした。衣装係は出演者の衣装を作るのに大忙し。
「それにしても、何で私がドイツにいるって分かったの?」
中国くんに尋ねると、「そんなの簡単ある」と説明してくれた。まず、各自手分けして防犯カメラの映像で私を探す。それでゲーテくんと一緒にいたから、もしかしてドイツに行ったんじゃないかな〜と仮説を立てる。そしてドイツと国境を接しているフランスくんが日本くんを連れて国境まで飛ぶ。
「うん。凄い方法」
日本くんは弓道部の練習に行ってしまった。
「菜羽、これどうやって繋げるんだい?」
ふと、机で作業していたアメリカくんが私を呼ぶ。
アメリカくんの手元に目を向けると、細長く切った色とりどりの折り紙。
宣伝看板に使う輪飾りを作っている。
「えっと、端にのりを付けて、、、」
説明しながら私も手伝っていると、スマホがブブブと震えた。
電話を掛けてきたのは叔母のナオちゃんだった。
『もしもし菜羽〜?元気ー?』
「うん。元気だよ」
『実はさ、、、ちょっと出張でそっち行くんよ。だから、、、泊めてほしいな〜なんて』
突然の報告にピシッと固まってしまう。ナオちゃんは普段、東京に住んでいるから会う頻度は少ない。
「ちなみに、、、何泊?」
『三泊四日。来週の木曜日に行くわ』
三泊四日!?どうしよう、それまで擬人化男子達を隠し通せるか心配、、、。
少し話して電話を切る。
手は震えていた。バレたら怒られるかな?怒られるよね、中学生が数人の男子達と同居しているなんて、、、。
ため息をひとつ零したのだった。
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