君を大人の果実とよぶ。



あまりにもしつこい牧に、
京子は牧が手洗いしたタイミングで
部屋に行くと伝え、ひとまずは解放された。


『約束だよ?来てくれなかったら泣いちゃうからね』


午後の自分の手術に使うものを集める。


「…」


ふざけていると思ったら、
いきなりあんなに近づいてきて、
かと思ったらすぐ離れて…


完全に、遊ばれてる…!


調子が狂いそうになるのを、
頭を振って懸命に忘れる。


「…なんでこんな、」


ムキになってるんだろ、私…


このままでいいのだろうか、なんて、
考えてしまう自分もいる。

自分にとっての牧の存在が、
牧にとっての自分の存在が、
一体なんなのか…

思い返せば、キスをしたのは、
たぶん、1、2回…ぐらい。

アメリカにいた間も、
ほとんどの時間を一緒に過ごしたが、
住む場所も、休日の時間も別々だった。

周りが思っているほど、
いや、思っていないかもしれないが、
京子は牧との関係が変わらないことを感じていた。


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