君を大人の果実とよぶ。
物品を揃えて、近くにあった台車に乗せる。
一通り準備できたところで、
京子は手術室10番に向かった。
ドアを開けて早々、
ギャラリーがやたら多いことに気づいた。
師長が移動者を連れて、部屋を回っていたらしく、
ちょうどこの部屋にきたタイミングだったようだ。
他にも実習中の学生が数人、見学に来ていた。
牧はちょうど手洗いに出ていていなかった。
後輩の医師たちが、腹部の消毒をして、
清潔な覆布を患者にかける。
器械出し看護師が、器械台を患者に寄せ、
外回りがデバイス機器を接続していた。
「あれ、手伝い?」
「えぇ、まぁ…」
師長の言葉に、適当に相槌を打つと、
ドアが開いて牧が入ってきた。
手をどこにも触れないよう上げて、
もじゃもじゃ頭は帽子に綺麗に収められている。
あれだけの毛量があるというのに、
余程頭が小さいのか…?
牧は京子を見るなり眼鏡の向こうで瞳を輝かせた。
「あ!きょんちゃ…」
「牧先生‼」
初めて聞いた高く可愛らしい声が、
牧と京子の間を通り抜けた。
「ん?」