君を大人の果実とよぶ。
#8. 味見
窓からの明かりに、自然と目が覚める。
いつもはそんなこと、決してないというのに。
テレビ横の時計は5時45分。
ということは、現実世界は5時35分ということだ。
京子は隣に並ぶもじゃもじゃ頭に触れてみた。
初めてだ。ふんわりとした感触が、犬のそれだった。
綺麗な寝顔…羨ましい。
自分の不細工な寝顔を見られたかと思うと、
少し恥ずかしいような、
でも今更気にすることもないような…
昨晩の出来事を思い出しても、
今度はため息も後悔もなかった。
ただ、心が満たされた、そんな気持ちだ。
財布からナチュラルに取り出してきたことには、
驚きというよりも感心しかなかったほどに…。