君を大人の果実とよぶ。
京子は顔を洗って、歯を磨いて、
冷蔵庫から取り出した水を一気に
喉に流しいれた。
脱水で頭が痛いのは、久々だ。
それから、昨日牧が来る前に冷やしておいた
マグカップを取り出した。
大量の小さな苺を、これまたたっぷりの
生クリームとワインにつけたものだ。
以前帰省したとき、叔母が作ってくれたデザート。
生クリームがピンクに色づき、
苺がワインで柔らかくなっていれば
しっかり漬かっている証拠らしい。
カップとスプーンを手に持って、
牧が寝ている隣に腰かけた。
見た目はかなりあまったるそうだが、
一度口に入れると手が止まらないほど、
クセになるデザート。
冷たいマグカップを抱えて、苺をひとすくい。
口に運ぶその瞬間、
「なに?それ」
知らぬ間にぱっちりと開いた目が、
京子を見上げていた。