君を大人の果実とよぶ。
移動者が来た翌日に、牧は澪菜と恵の歓迎会に、
飲み会を開いたようだった。
「よく知ってますね、そんなこと」
渚が感心して言う。
「直接聞かされたのよ、目の前で」
「あぁ」
納得した渚は、「続きをどうぞ」のジェスチャー。
京子は喉につっかえた何かを、
ハイボールで流し込んだ。
『牧せんせ、昨日はありがとうございました!』
京子より小さな体がぺこりと垂れる。
まるで小動物のような愛らしい動きには、
京子も思わずときめくほどだった。
そりゃあ、こんな可愛い子が自分に手を振って
トコトコとやってきたら、
『いいんだよ~また連れてってあげるぞ!』
こんなぐだんぐだんのだらしない顔になるのも
無理はない、か。
牧が澪菜の頭を、「よしよし」と撫でると
『やったぁ~』
と、澪菜はペットのように牧を見上げてご満悦だ。
白い耳がほんのり朱色に染まり、
綺麗な二重は、ニコッと目を細めても綺麗だった。
目つきの悪い自分には、似合わない笑顔だな…
なんて、少し羨ましくも思いながら、
京子が台車を押して離れようとすると、
『千秋さんも来て欲しかったですー』
と、思わぬ変化球が飛んできた。