君を大人の果実とよぶ。
それは、京子の器械出しの見学に、
恵がついたときの話だった。
「うわ、出だしからヘビーですね」
「うん、しんどかった」
何がしんどいかと言われれば、プレッシャーだった。
移動者たちは手始めに、
器械出しと一緒に手洗いをして、
手術の見学に入ることになった。
そのうち恵が選んだ手術が、牧も入る
腹腔鏡下幽門側胃切除術。
俗にラパ胃と言われる手術だった。
牧は助手で、執刀は牧の後輩の工藤医師だった。
数年前から消化器外科に入局しており、
上部消化管チームを希望しているが、
未だに他のチームもローテーションしている。
目は二重だが細くきりっとしており、
世で言う塩顔イケメンというやつだろう。
うちの母親が好きそうな顔だな、と
京子の第一印象はその程度で、
そんなに話したこともなかった。
そんな工藤に救われたのが、
今回のレベル2のお話だ。