君を大人の果実とよぶ。
「偉い!」
「ほんとー?」
渚の叫びに、京子は泣きそうだった。
「姉さん、偉いですよ!
そこでお礼はなかなか言えない。
私だったら絶っっ対無理!」
「うぅー…ありがとー!」
泣き顔の顔文字のような表情で、
京子は後輩の言葉に涙した。
もちろん、本当に涙は出ていない。
こんなことで泣いてたまるか。
「でもこんなの序の口なんですよね?」
「そーですッ!」
京子は、渚が追加注文した明太子オムレツを食べて、
それをハイボールで流し込んで続けた。
「ねぇ、もし自分が器械出しの見学だったら、
術中どこに立つ?」
「そりゃあ、器械出しの横かー、
器械台を挟んで、対面に立ちますかね?」
「だよねぇ」
「え、まさか…」
「そのまさかですよ」
器械出しは基本、執刀医の隣に立つ。
今回の執刀は工藤で、牧は助手だ。
器械出しを見学するということは、
京子の動きが見える場所か、
器械が並べられた台のそばに立つのが妥当だろう。
だが、恵はちゃんと、牧の隣に立っていた。