君を大人の果実とよぶ。
京子はいつも通りの器械出しの位置、
執刀医である工藤の隣に立った。
そして患者を挟んで対面に、助手の牧と
なぜかその隣に恵が並んだ。
私の器械出しを見るんじゃないんかい!
と、もちろん心の中の突っ込みは言葉にしない。
患者の頭部に立つ東郷だけが、
京子の心中を察してか、にやっと笑っているのが
マスクをしていてもわかった。
腹腔鏡手術は、基本外科医が3人入る。
執刀医、助手、そして体内に入れるカメラを
持つ第二助手だ。
このカメラ持ちは見たことがある。
今消化器外科を回っている研修医だ。
カメラで写している映像は、患者の頭側にある、
内視鏡モニターの画面に映される。
小さい傷から長い鉗子を入れて、
その画面を見ながら体内操作をして手術をする。
『そこにある神経はいらないから
切っちゃっていいよ』
『はい』
全員が画面に集中する。
牧の指導のもと、工藤はてきぱきと手を進めた。
『いいねぇ、工藤ちゃん。
かなり慣れてきたんじゃない?』
『ありがとうございます』
そんな会話が繰り広げられる中、
京子は工藤に器械を渡していった。
『ハーモ…』
『はい』
『ありがとうございます』