君を大人の果実とよぶ。
京子が、形成外科が行う顔面骨手術の
外回りについていたときのこと。
手術が終わると、外回り看護師は、
患者情報を病棟看護師に申し送る。
総合外科部門のスタッフステーション前にある
パソコンの前に座って、
病棟看護師が来るのを待っていた。
『あ、きょんちゃーん!♡』
自分の手術も終わった牧が、
ベッドで眠る患者を連れて、受付前にやってきた。
病棟看護師が来るまでの間、
外科医が患者と共に迎えを待つのが
この病院のルールだった。
もちろん、京子が担当した患者も、
外科医と共に待機していた。
そんな状況の中でも、
このもじゃもじゃ頭の変態医師は、
懲りずに声をかけてくる。
『偶然だねー!終わったところなの?』
『そうです。
あの、迷惑になるので大声出さないでください』
『あ、ごめんごめん』
そう言って、ベッドのロックをかけて、
とことこと寄ってくる。
まさか隣に座ってくるのではあるまいな…
と、身構えたところで、自動ドアが開いた。
『8階でーす…あ、牧先生っ!』
牧を見るや否や、瞳を輝かせる白衣の天使。
もとい、牧の患者を迎えに来た病棟看護師。
それが、岡杏夏だった。