君を大人の果実とよぶ。
薄っすらと京子の目が開き、
牧は京子の顔を覗き込んだ。
あまりのその勢いで、恵が腕から降り落ちる。
京子は目に入ってきた生き物と、
その隣にいる美人を見て、呟いた。
「…あぁ、またですか」
「ん?なに?きょんちゃん」
牧が更に近づこうとするも、
京子がふらっと後ろに下がった。
倒れそうなその華奢な体を、
工藤が迷わず支えた。
「千秋さん、大丈夫ですか?」
工藤の問いかけに、京子がコクンと頷く。
それを見ていた恵が、
再び牧の手を握った。
「ねぇ、飲み直しましょうよ。
千秋さんのことは、工藤先生に任せて…
いいんですよね?」
「あ、はい…」
工藤が頷くも、牧は2人の会話など聞いていなかった。
「こんな酔いつぶれてるの、初めて見たな。
心配だよぉ」
「大丈夫ですよ、工藤先生がついてますから」
工藤は、恵がイラついているのだと悟った。
所詮はこの飲み会も、
牧に近づくチャンスぐらいにしか
考えていなかったのだろう。
名目上は、消化器外科の親睦会だが、
そこに恵たち看護師がいる時点で、
その魂胆は見え見えだった。
工藤は、恵の京子に対する態度が気になっていた。
それと同時に、京子を気の毒にさえ思った。
こんなに飲んだのだって、もしかしたら…