君を大人の果実とよぶ。
「千秋さん、おうちどこですか?」
工藤は京子の両肩を後ろから抱いた。
「あっち」
と、指さす方へ歩き出そうとすると、
牧が再び前に出た。
「家知ってるから、一緒に行く」
「仁さん」
恵がじれったそうに言う声が大きく響く。
京子は「ふんっ」と、誰にも見えないように
小さく笑った。
そして、工藤の耳元に顔を寄せた。
"もう、見たくない"
工藤は「そうですね」と頷いて、
「俺、送ってきます」
とその場の面々、特に牧に向けて伝えると、
京子と共に道に向かって今度こそ歩き出した。
「いきまひょ」
と、呂律の回らない京子が言うと、
工藤は眉を下げて笑った。
「一体どこでそんなに飲んだんですか?」
「えー、そこだよ、そこ」
「クスッ…どこだよ」
楽しそうな背中が、暗闇に消えていった。