君を大人の果実とよぶ。
澪菜が去った後、工藤はすぐに京子の顔色を
伺ってきた。
が、もうこんなことにいちいち反応するほど
京子も若くはなかった。
「若いですね、素晴らしいな」
「そういう千秋さんだって若いじゃないですか」
「まぁ、まだ、ギリ、20代です」
「僕より下ですよ!やめてください」
「あはは、すみません」
他愛もない会話が楽しい。
そう思えることが、なんと有難いことか。
京子はペコリと頭を下げて、工藤と分かれた。
受付に戻ると、なんと嫌でも目に入った姿に、
京子は思わず足を止めた。
牧が受付にある大きなテレビ画面で、
手術スケジュールを確認している。
さらに、その横にあるもう一つのモニターを
珍しく真剣に見下ろしていた。
手術室3番で行われている、
大動脈食道瘻に対する手術の、術野映像だ。