君を大人の果実とよぶ。



先日救急に運ばれてきた患者で、
心臓外科による緊急処置の手術には
夜勤勤務中だった京子がついた。

今回の手術は担当じゃなかったこともあり、
あまり詳しく情報を見ていなかった。


そういえば…


と、ふと京子も気になり、
それとなく牧の隣に立ってモニターを見た。


術野が赤い。

かなり出血し、止血に苦戦しているようだ。

この患者にとっては、3度目の手術。

今回は人工心肺を使用し、大動脈を人工物の
血管に置き換える"人工血管置換術"のようだった。


牧の専門は上部消化管である食道と胃。

症例数の少ない術式であることもあって、
少なからず興味があるのだろう。


「……」


京子が近づいてきても反応を示さない程、
やけに真剣な様子だ。

不思議とその横顔を、京子が見つめている姿も、
受付に居合わせた看護師たちにとっては
珍しい光景のようだった。


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