君を大人の果実とよぶ。
ほんの数回のやり取りで、
感覚は戻ってくる。
押していた時間を巻き返すように、
京子が入ってから30分で、
門脈再建に踏み切ることができた。
「針糸は」
「いつもので」
牧がそう言うと、京子は外回りに
届くような声量で言った。
「6-0プロ―リン、2本ください」
「はーい」
それには、さすがの恵も驚いたようだった。
「どうしてわかるの?」
恵に話しかけられたことに驚きすぎて、
京子は思わず恵の方を見た。
「いつもそれ使うの?」
「はい、大体は。手順書にも書いてありますよ」
「ふぅん」
京子はそれ以上何も言わなかった。
牧先生しか見えてないのか、この人は…