君を大人の果実とよぶ。


牧はその気持ちを受け止めるように、
恵に向き直った。

手を伸ばし、その頬にかかった黒髪に触れる。


「恵ちゃんは、美人だね」

「…なによ」

「本当に綺麗だ」


恵は照れたように微笑み、
牧の掌に頬を寄せた。

牧の手に、自分の手を重ね、目を閉じる。

その頬は熱を帯び、喜んでいた。


「仕事もできて、しっかりしてる。
 …でもね」


牧はそっと手を離し、続けた。


「男はアラフォーにもなるとね、
 みんな同じ顔に見えるんだよねぇ」

「ふふ、私のことも?」

「うん」


牧は躊躇うことなく頷いた。


「大好きな人以外は、みんな」


恵の表情がスッと冷める。



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