君を大人の果実とよぶ。
牧の長い睫毛が揺れて、
綺麗な二重が間近に見える。
続きを期待して、目を閉じる前に、
牧は「フッ」と小さく笑った。
「これでおしまい。いいね?」
牧は恵から体を離し、運転席に座り直した。
「…ずるい人」
恵がそう言うと、
牧は再び、"いつもの笑顔"を作った。
「よく言われます」
「ホント…ずるい」
「ごめんね。もう遅いし、送るよ」
シートベルトをして、エンジンをかける。
気まずい空気を外に流すように窓を開けた。
夜風を感じながら、山を下りる。
最低だと、自分自身に訴えかけながら。