聖女、令嬢、普通の子
聖女コリン。
桃色の髪をした美少女。
このポラネーボ学院唯一の平民で、高い魔力を持っている乙女ゲーの主人公。
それにしてもおかしい。
「なぜ私が聖女だと? 1学年前期では誰にも知られていないはずなのに」
「そういう、あなたこそ、なぜ1学年前期は誰にも知られないと言い切れるの?」
悪役令嬢サビアはなぜコリンが聖女だと知っている?
乙女ゲーの中でも最初は誰も知らない設定のはずなのに……。
「さあ? それよりユーリ。私、カエルを家族と呼ぶ人って少ないと思うの」
「ホント? 奇遇だわ、私もひとりしか知らない」
カエルを家族と呼ぶのはたしかに私も私しか知らないけど。
「「由伊!」」
「えっ、なんで知ってるの?」
「「やっぱり」」
由伊……私の転移前の名前。
このふたりはいったい?
「ってことは、聖女コリン、あなた聖枷でしょ?」
「そういうあなたは七桜ってことなんだ」
聖枷が聖女コリン・マイローラで、七桜が悪役令嬢サビア・エレジール?
もしかしなくても3人仲良く転移しちゃったってこと?
「ふたりとも、このゲームはクリアした?」
「流行ってたけど、途中でリタイア」
「私もリタイアしたわ。つまんなかったし、由伊は?」
「3人ともクリアしたけど」
ふたりのようにあっちの世界で忙しいわけじゃないから、全部クリアしちゃった。まあ、面白かったかって言われると、本編より別のところにこのゲームのやり込み要素があったから面白かった。
「ボクはまず破滅ルートの回避」
「私は三公の好感度を上げないようにしなきゃ」
「なんで? 応援するよ。好きなの選んじゃいなよ?」
「イヤよ、七桜に全員譲るわ」
「ボクだってあんな連中要らないよ。ボクが欲しいのは……」
ふたりの視線が私……由伊ことユーリに注がれる。
いやぁ。
みなまで言わないで。
いったいこれからどうなっちゃうんだろ?
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