【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
「……緊張しました……」

応接室へ戻った紬に、佐藤がぽつりと漏らした。
資料をまとめ終えた手元にはまだ硬さが残っている。

「なんか……一条先生、怖くないですか? 僕、何か悪いことしたのかと思って……」

思わず眉を下げる佐藤の顔に、紬は思わず小さく吹き出しそうになるのを堪えて、愛想笑いを浮かべた。

「ううん、大丈夫。あの人、だいたいあんな感じだから。たとえ睨まれても、それは……睨んでないから。気にしないで〜」

ちょっとおどけたような口調で和ませながら、紬は椅子に腰を下ろした。

佐藤は安堵と困惑が混ざったような顔で、「そうなんですね……」と頷きながら続ける。

「ちょっと……動揺しちゃいました。でも、先輩は淡々と説明してて、すごいなあって思って」

「ありがと。でもね、そのうちみんな慣れるよ。説明も、一条さんの視線も」

紬はいたずらっぽく片目をつぶって笑い、机の資料をそっと整えた。

「それに……私がついてるから、大丈夫」

その言葉に、佐藤はぱっと顔を明るくし、「はいっ」と素直な返事を返した。
やっぱり、子犬みたいな反応だなと紬は密かに思いながら、心の中でひとつ深呼吸する。

(……でも、次はなるべく、隼人の目を避けた方がいいかも)

そんな考えがほんの少しだけ、頭をよぎった。
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