【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
オフィスの自動ドアが開く音と共に、紬が息を切らして駆け込んできた。
顔は赤く、汗が額にじっとりと滲む。
「あっ、紬!」
あかりの声が思わず漏れ、目を丸くして彼女を見つめている。

(遅刻するかと思った......)
紬は息を整えながら、自席にたどり着くと、軽く肩を落とす。

「珍しいね、紬が走ってくるなんて」
茜がからかうように声をかける。
あかりはモニターの隙間からちらりと顔を覗かせ、低く呟いた。

「今日のランチ、いつもの定食屋で集合ね」

「了解!」
茜の返事が元気よく響く。

紬の胸はまだざわついていた。
走ったせいの息切れ、夏の暑さに体が火照る感覚、そして何よりも隼人の低い声とあの甘いキスの余韻。

「落ち着け、落ち着けって……」
そう自分に言い聞かせるけれど、頭の中ではあのキスの感触が何度も何度も再生されていた。

やがて紬はそっと机に顔を伏せ、深いため息をついた。
「はあ……なんでこんなにドキドキしてるんだろう」

周囲の視線には気づかないふりをして、しばらくそのまま動けなかった。
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