【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
「新幹線なんて、久しぶりかも……」

東京駅のホームに並ぶ列の中、改札を通ってきたばかりの人の波に紛れながら、紬は小さくつぶやいた。

隼人が予約してくれた指定席は、窓際の並び。
スーツケースは事前にホテルに送ってあるから、手荷物だけで身軽な旅だ。
朝早い時間なのに、隼人はスーツの代わりに柔らかいニットとジャケットというラフな服装で、すでに“仕事モードではない”空気をまとっていた。

「新幹線って、旅してるって感じがするね」

紬がそんなことを言うと、隼人はコーヒーを一口飲んでから、あっさりした口調で返す。

「出張と違って、今日は本当の旅だからな」

その言葉に、胸がふわっと浮いたような気がした。

窓の外に広がる景色は、ぐんぐん緑が増えていく。
コンクリートの町並みが、いつの間にか森と山に変わっていくのを眺めていると、自然と表情もゆるんでいった。
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