幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「逢生は梶井さんが隣の部屋に住んでいるってこと知ってた?」

「最悪だ」

知らなかったらしい。
逢生は心の底から嫌そうな顔をした。
やれやれとため息をつきながら、冷蔵庫に買ってきたものをしまう。
マジックでプリンに『そよか』と書くのを忘れない。
食べられてなるものか、我がプリン。

「女の人とちょうど別れたところに遭遇しちゃって、慰めて欲しかったみたい」

「それで抱き締められたって?」

「なにこの裁判」

「有罪だよ」

「一方的な判決ね」

「妥当な判決だよ」

逢生は不機嫌そうな顔をしていたけど、不可抗力よ。

「女と別れて傷つくような男じゃない。きっと奏花のことが気に入ったんだ」

「そうなのかなぁ。ちょっとからかっただけだと思うけど」

「奏花。梶井と遭遇したら逃げて」

「レベルの高い敵と出会った時みたいなこと言わないでくれる?」

「俺は真面目に言ってる」

「わかったわよ」

逢生が真面目になることなんて数年に一回あるかないかだ。
でも、梶井さんが私を気に入ったなんて、あり得ないと思うけど。
別れた女の人もすっごく美人だったし。
しばらくしたら、きっと彼女も増えているはず。
まあ、私は心配することないか。
そう思っていた―――まだこの時は。
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