幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
逢生は満足したらしく、両手を離した。

「これ以上したら止められなくなる」

「怖いこというんじゃないっ!」

「俺、怖い?」

「怖くはないけど……」

そうだ。
逢生は怖くない。
なんでだろう。
梶井さんに触れられた時と違う。

「もう一度言うけど。梶井はだめ。あいつは危ない」

「う、うん」

それは逢生に言われるまでもなくわかる。

「奏花のことを俺以上に幸せにできるやつがいるなら、身を引くけど」

「そうなの?」

「いるわけないっていう前提で言った」

なにそれ言ってみただけっていうのと同じくらい信用ならない言葉じゃないの。
逢生はソファーにかけてあった自分のTシャツを手にすると、私の頭からTシャツをかぶせた。
それで安心したのか、ぐりぐりと自分の匂いをつけるように顔を私の髪に埋めた。
犬かな……

「梶井さんには気を付けるから、逢生は髪を乾かして床をふいて。ちゃんと髪をふかないから、水が落ちてるじゃないの」

「奏花のせい。俺以外の男の匂いさせて帰ってこられたら、冷静でいられるわけない」

「ちょうど部屋の前にいたんだから避けようがないでしょ」

「部屋の前に?」
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