幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
だって、逢生のほうが似合ったから。
いつも逢生は私のライバルだったよね。
でも今はもう男の人の顔だった―――

「奏花、俺がいらなくなったら言って」

キスする寸前で逢生はそんなことを言って顔を背けた。

「逢生……」

黙ったまま、逢生は自分の部屋に入って行った。
取り残された私はフラれたわけでもないのに傷ついていた。
逢生に拒否されたような気がして。
でも、私より傷ついていたのは逢生だったかもしれない。
私の服から微かに香るのは梶井さんの煙草の匂いと香水の香り。
それが残っていたから逢生は私を―――もしかして嫌いになった?
なにもなかったのに……
ちょっとはなにかあったか聞いてくれたっていいじゃない。
逢生とケンカをしても泣かなかった私が初めて泣いた。
どうして悲しくなったのかもわからずに。
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