幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
そのまま直帰していいと言われたのもあって、引き受けると会社を出た。
梶井さんが風邪なんて想像つかない。
風邪のほうから逃げていきそうなのに。
スーパーでゼリーとレトルトおかゆと水を買った。
あるかもしれないけど、お見舞いだしね。
マンションに着くと梶井さんの部屋の前に行き、インターホンを押した。
一度だけじゃわからなかったのか、出てこないから数回押してみる。

「眠ってるのかな……」

返事がない。
先輩に頼まれた手前、このまま収穫なしで帰るわけにもいかないし。
ドアノブに手を添えるとちゃんとドアが閉まってなくて、ドアが開いていた。
中で倒れているとか!?
まさか―――死?
バァンッと勢いよくドアを開けて中に駆け込むと梶井さんが床に寝転がっていた。

「えっー!!」

しかも、パジャマにすら着替えずに眠っている。
ずるずるとその体をなんとか引きずってソファーまで運んで寝室から掛け布団を持ってきて、体にかぶせた。
額に手をあてると熱い。
うっすらと体が汗ばんでいた。
夢を見てうなされているのか、苦しそうに息をしながら険しい顔をして小さくつぶやいた。

「行かない……で」
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