幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
体調が悪く、ベッドに行くのが面倒で床に寝転んだところまでは覚えている。
そこまではいい。

「ここにいたのか……?」

他人を部屋に入れただけじゃない。
身の回りの世話をされても気づかずに眠っていたことに驚いていた。
俺の体をソファーまで運んでくれたのだろう。
起き上がると額からタオルが落ちた。
看病をしてくれたのか、すやすやとそばで眠っている。

「無防備すぎるよ、奏花ちゃん」

指で髪をあげて顔を近づけた。
胸が痛い。
少しでも俺を想ってくれている?
ここにいるってことは俺のことが嫌いってことじゃないよな?

「愛おしいってこういうことを言うんだな」

いつも俺を助けてくれる。
俺が救うんじゃなく、君が俺を救ってくれる。
大事な存在だ―――手に入れたい。
頬を指でなでる。
彼女の体を抱きしめようとしたその時―――

「う、うーん……逢生(あお)、それは私の……プリン……」

キスしようとしてやめた。
なにをしようとしているんだ。
俺は。
バシバシっと頭を叩いた。
そして気づく。
彼女から漂うコットンフレグランスの香りに。

「あいつ……」

深月(みづき)と同じ香りだ。
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