幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「今日はここまでにしておく」
「う、うん……そ、そう」
ぼうっと熱っぽい頭でうなずいた。
「練習しないと」
なんの?と聞くまでもない。
チェロの練習に決まっている。
次のコンサートは梶井さんとのデュオがあるという話だ。
つまり二人で演奏する。
この仲の悪い二人で演奏なんて、事務所もよく許したと思う。
どんな演奏になるんだろうか。
いつもの穏やかな凪のような目はなく、鋭い獣のような目をして逢生は言った。
「梶井には絶対に負けない」
初めて私は逢生の『負けない』という言葉を聞いた。
それは梶井さんが逢生に一番言わせたかった言葉だったのかもしれない―――と、この時になって気づいた。
逢生は私を見ずにチェロがある自分の部屋に入って行った。
多分、次のコンサート、逢生は本気でチェロを弾く。
それを梶井さんは聴きたかったんじゃないだろうか。
逢生の音を引き出すために怒らせて。
練習する逢生はいつもより真剣な顔をしていた。
多分、逢生は梶井さんと一緒に演奏することで成長する。
今までよりずっと素敵な音を奏でるようになるだろう。
そんな予感がした。
「う、うん……そ、そう」
ぼうっと熱っぽい頭でうなずいた。
「練習しないと」
なんの?と聞くまでもない。
チェロの練習に決まっている。
次のコンサートは梶井さんとのデュオがあるという話だ。
つまり二人で演奏する。
この仲の悪い二人で演奏なんて、事務所もよく許したと思う。
どんな演奏になるんだろうか。
いつもの穏やかな凪のような目はなく、鋭い獣のような目をして逢生は言った。
「梶井には絶対に負けない」
初めて私は逢生の『負けない』という言葉を聞いた。
それは梶井さんが逢生に一番言わせたかった言葉だったのかもしれない―――と、この時になって気づいた。
逢生は私を見ずにチェロがある自分の部屋に入って行った。
多分、次のコンサート、逢生は本気でチェロを弾く。
それを梶井さんは聴きたかったんじゃないだろうか。
逢生の音を引き出すために怒らせて。
練習する逢生はいつもより真剣な顔をしていた。
多分、逢生は梶井さんと一緒に演奏することで成長する。
今までよりずっと素敵な音を奏でるようになるだろう。
そんな予感がした。