幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
このマダム達はクラシックコンサートのプロ集団!
私の席は二階席の一番前でいい席だっていうのもあるだろうけど、周りは前回よりも年齢層が高めな梶井さんファンと見た。
座るとしっかり舞台全体が見渡せる席。
プログラムを開いて曲目を見ているとマダム達が囁いていた。

「この子達、将来有望よね」

「だから、梶井さんも共演を承諾したんでしょ」

将来有望―――まあね!そうよね!
まるで自分のことのように誇らしい。
でも、やっぱり梶井さんの方が格上のようだった。
ふ、ふーん。
仕方ないわよ。
逢生達の方が若いんだしっ!
開演は四人のカノンから。
会場にしっとりと響く弦楽器とピアノの音。
なるほど。
眠くなりそうな曲を一番にもってきたわけね。
そう思っていると周りのマダム達はうっとりと聴いていた。
……どうせ、音楽のことはわからないわよ。
豚に真珠、猫に小判。
いい席なのに申し訳なさすぎる。
顔だけはクラシック音楽わかってますよ?という顔で聴くことにした。
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