幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
たどたどしい指でハッピーバースデーを弾いてくれる。

「奏花、そこちがう」

「えー?」

「こうだよ」

ハッピーバースデーの曲を弾く。
驚いた顔で奏花が俺を見る。

「逢生、ピアノ習ってないでしょ?」

「曲を聴いたら弾ける」

「すごいなぁ。逢生君」

「絶対音感かしら」

奏花の両親が褒めてくれた。
嬉しくなっていろいろな曲を弾く。
知っている曲を全部。
気づくと奏花がいじけて丸まっていた。

「私のピアノなのに……」

「ごめん、奏花」

「いいよ、私より逢生のほうが上手だったから」

あーあ、また逢生に負けた……と言いながら奏花はごろごろとリビングの床に転がった。
床暖房が暖かく、誕生日の準備で疲れたらしい奏花がうとうとしていた。
その横で座っていた俺も眠くなってきた。
奏花の体に寄りかかるとあたたかい。
人の体温だ。
犬が寄り添って眠るみたいに俺は奏花のそばで眠った。
どうか神様、ずっとこのまま―――そう願いながら。
続くわけないのにそんなことを願っていた。
当然、その願いは叶わなかったけど、今もその願いは変わらない。
奏花と一緒にいるために帰ってきた。
今、ここに。
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