幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
笑顔じゃないのねと思いながら、その顔を眺めた。
そういえば、逢生は他の人の前だとあまり笑わないかもしれない。

「かっこよすぎー!幼馴染み君もやっぱりイケメンね」

隣に座った寿実は大絶賛だった。
なんとなく面白くなくて最後まで見ずにぱふっとパンフレットを閉じた。
わかってる。
逢生がすごいことくらい。
昔は違ってたのに。
なにをやっても私の方が上だった。
足も早かったし、木登りだって上手だったし、勉強だって逢生に教えてあげていた。
でも、いつの間にか逢生は私より足が早くなって勉強だってできて、私の後に始めたピアノもすぐに私を追い抜いた。
ピアノの先生は逢生の両親に『この子は音楽をやらせるべきです!』と言って、音楽の道をすすめた。
私はまだバイエルを一生懸命練習してたっていうのに―――不公平だ。
馬鹿馬鹿しくなってピアノを弾くのをやめた。
私がピアノを弾かなくなった後、両親はピアノを逢生にあげてしまった。
だから、逢生の部屋にあるピアノは元々は私のピアノだ―――

「奏花どうしたの?険しい顔をして」

「なんでもない」

「ねえ、開演まだよね?」

「そうね。後、三十分はあるわね」
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