幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「これからよ、これから!今から約束するに決まってるでしょ。恋はスピードが命!私は奏花みたいに同じところで足踏みしないタイプなの」

ぐっ!恋愛初心者扱いされた。
寿実のフットワークの軽さにはうらやましく思う。
休日も私と違って趣味昼寝なんてことないだろうし。

「さーて。弘部君を探そうっと」

寿実に促されて席を立ち、ロビーに行くとグッズ売場は大盛況で長い列ができていた。

「ね?買っておいて正解だったでしょ?」

「人気なのね」

「なにをいまさら。テレビや雑誌に出ているの知らなかったの?」

「知っていたけど、こんな人気とは思わなかったし」

「もう少し興味もってあげなさいよ。あっ!弘部君がいるから、もう行くわね!じゃーねー。月曜日にー!」

こっちがなにか言う前に寿実は弘部くんの姿を見つけるといなくなってしまった。
ううっ……悲しい。
一人確定。
コーヒーショップかファーストフード店でなにか食べて帰るしかないわね。
時間も遅いせいもあるけど、私が一人で堂々と入れる店も限られる。

「もー。二人なら選択肢があるのに」

せめてファミレスくらいには入りたかった。
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