幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
はははと梶井は笑っていたけど、こっちは笑えない。
嫌そうな空気を出していると桑地が背後から抱きついた。
座っていたせいで頭に桑地の胸があたってる。
はぁ……
奏花ならよかったのに。

「桑地。離れて」

「嫌よ」

「桑地」

唯冬の鋭い声に桑地がビクッと震えて離れてくれた。
高校時代からのトラウマなのか、桑地は唯冬が苦手だ。
唯冬のそばにいると自然に桑地も距離を置くから、本当に助かる。
ニヤニヤと梶井が人の悪い笑みを浮かべていた。

「子犬のくせにモテるんだな」

「深月はかっこいいから、高校の時からモテモテだったの。隣をキープするのは大変だったんだから!」

桑地には興味がないのか、梶井は無視すると俺に言った。

「深月。ちゃんと次からは梶井さんって呼べよ」

不快な顔をしていると梶井が笑う。

「ほら。女の子が待っているぞ」

桑地が俺に触れるか触れないかのところで隣に寄り添っていた。
まるで俺が自分の所有物であるかのように周囲に見せつけている。

「ピアニストとチェリストか。いい組み合わせだな」

梶井に言われて桑地は嬉しそうにふふっと笑ったけど、俺は少しも笑えなかった。
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