幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「さすが隈井先生の秘蔵っ子だな。一瞬、隈井先生がいたのかと思った」

隈井先生とは菱水音大附属高校のピアノ講師のことだ。
長く勤めており、何人も優秀なピアニストを輩出している。

「体調管理をしろというのが隈井先生の口癖ですからね」

「助かる。ありがとうな」

受け取ると梶井は笑顔で去り、他のスタッフと会話をしているのが見えた。

「梶井さんってかっこいいわね。私は深月の方が好きだけど」

「そろそろ諦めたら?さすがにしつこいだろ」

知久がやれやれとため息をついた。

「深月がフリーなうちは諦めないわよ」

「逢生はずっと奏花ちゃんが好きなんだから、無理だって。一緒に暮らしているしさ」

「嘘!」

桑地の顔色が変わった。

「嘘じゃない」

「どういういこと?恋人なの?」

「まだだけど。奏花が俺を好きになったら、付き合ってくれるって」

「なにその態度!あの女、そんなことを深月に言ったの!?」

桑地の言っていることはどうでもいい。
むしろ大事なのは―――

「奏花、俺のこと好きになってくれるかな?」
< 75 / 213 >

この作品をシェア

pagetop