【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
つまりバルガルド王国は本物の聖女であるローズマリーと千年も恩恵を与えてくれる魔法樹を自ら捨てたことになる。


「ローズマリーとその魔法樹を箱に閉じ込めて国外に追放したなんてッ! なんてことを……っ! 国の損失だ。大損失だぞ!?」


父は大司教の胸ぐらを掴んで揺すっていく。


「わかっています……! だが先に裏切ったのはルレシティ公爵と貴族たちだ! 貴族たちが押し寄せていなければこんなことにはっ」

「……!」

「それにローズマリーを追放したのはクリストフ殿下ですぞ! 我々にはどうにもできなかったのです」


名前を呼ばれてクリストフは肩を揺らした。
手のひらを見ると汗ばんでいてガタガタと震えていた。
クリストフは父と教皇たちが争う声が何も聞こえなくなる。
頭にあるのはローズマリーのことだ。

(あの赤子が魔法樹だと!? ローズマリーは俺を裏切ってなどいなかった。それどころか俺のために魔法樹を……! 彼女は幸運の女神じゃないか)

それから教皇たちが調べたことによると、より強い魔法樹は人の形を模して生まれてくることがあるそうだ。
そうして自分が根を下ろす場所を決め、その国に千年の恩恵を与えてくれる。

バルガルド王国はもっとも大切なものを失ったのだ。

(これもすべてミシュリーヌの……あの悪女のせいで俺は判断を間違えてしまった。許してくれ、ローズマリー)

クリストフはローズマリーを取り戻すことに決めた。

(ローズマリーは俺が救い出してみせるから待っていてくれ……!)
< 144 / 193 >

この作品をシェア

pagetop