【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
クリストフも力を込めるが、水が現れるわけでもなく操れもしない。
生活を豊かにしてくれていた魔法がなくなるなんて考えられなかった。

(我々だけの特別な力が……なくなるなんて! 嫌だっ、絶対に嫌だ)

他国の奴らは愚かで平民たちにも貴重な魔法を分け与えている。
貴族たちだけと限定しているバルガルド王国とは違う。
それゆえにバルガルド王国の貴族たちは魔法を使い莫大な財産を築いてきたのだ。
クリストフが生まれる前から当たり前のようにあった魔法。
それがなくなるなど生きていけなくなるのと同じではないか。

(……信じられない。どうにかしなければ)

クリストフが己の身に起こるであろうことを想像し震えていた時だった。
大司教が青ざめた顔で口を開いた。


「そ、それから調べてわかったことなのですが……恐らくローズマリーが抱えていた赤子は新しい魔法樹だったようです!」

「……なんだと!?」


父やルレシティ公爵は唖然としている。
クリストフも信じられない気分だった。


「どうやら力の強い魔法樹は人の形を模して生まれてくるらしいのです。そのような魔法樹は千年は生きるとか……」
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