アルトの探しもの

7話

「いいのよ。私達もアルトが来ると楽しいから」

「それにしても、また第二開発研究室が攻撃を受けたんですか?」

「そうなのよ。何か恨まれるようなことでもしたかしら? ぜんぜん身に覚えがないんだけど」

「秤さん、お美しいですから」

「美しいのは罪って?」

 画面越しに秤さんが吹いているのが分かって、私も思わず笑ってしまった。

「秤さん、お願いします」

 画面の向こう側で、他の研究員が秤さんを呼んでいる声が聞こえた。

「ごめん、また今度」

「お忙しいのに、アルトのこと教えてくださって、ありがとうございます」

「いいのよ、また新発売のカップラーメンをケースで買ったから、今度遊びに来た時にでも、持っていってちょうだい」

「ありがとうございます。また伺わせていただきます」

 私の言葉を最後に通信は途絶えた。

「何だって?」

「いえ、何味かは聞いてません」

「アルトが何とかって聞こえたけど」

「そうでした!! すみません。アルトが行方不明です」

「君ねぇ――その報告が先じゃない?」

「すみません」

 何を言ってしまったのだろうと、私が自己嫌悪に陥っていると、北斗さんは眼鏡のブリッジを押し上げながら言った。

「アルトを探そう。研究所内のどこかにいるはずだ」

「分かりました」

「アルトの行きそうな場所とか──思い当たる場所はある?」

「行くのは、大抵は秤さんのチームですし。それ以外に、アルトが行ける場所なんて・・・・・・」

 私がそう言うと、北斗さんはパソコンの前へ行ってデータをプリントアウトしていた。プリントアウトした2枚の用紙のうち1枚を手渡される。その用紙には、研究所内の地図が描かれていた。

「私は地図の右半分を探してみるから、君は左半分を探して」

「分かりました」

 研究室の前で北斗さんと別れると、研究所内のそれぞれの部屋へ行って、アルトがいないか確認していた。入れない部屋もあったが、使われていない部屋もあり、そういった部屋があると中へ入って、モニターをつけたりして確認していた。

「君、何してるの?」

 あと少しで全ての部屋のチェックが終わるというところで、私は警備員の人に話しかけられていた。


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