寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました
 美鳥は、
「綾都、呼んできますね~」
と言って、そのまま行ってしまった。

「ところで、君は藤……綾都のことが好きなんじゃないのか?」
と慶紀は訊いてみた。

 訊いていいのかわからないが、無神経なことを言ってしまったら悪いと思って確認したのだ。

 まあ、確認すること自体があまりいいことではない気もしたのだが……。

 すると、侑矢は自虐的に言ってくる。

「いえ、結局、こんなことになるまで、彼女になにも言えませんでしたし。
 俺なんて所詮、車ボコボコにされる程度の男ですから」

 車ボコボコのところがちょっとわからないが。

 こんないい男が側にいたのに。

 俺なんかが見合いで、いきなり彼女を持っていってしまって悪かったな、と慶紀は思っていた。

 だから、必ず彼女を幸せにしようと誓う。

 申し訳ないから――。
 だから、身を引こう、という発想は不思議になかった。
 
 

< 109 / 330 >

この作品をシェア

pagetop