うちの訳アリ男子たちがすみません!
1 出会った男子は今日から居候⁉
出会い
「ええっと、明日必要なものは……っと」
一軒家の二階にある角っこの小さな部屋。
私は郵送で学校から届いた資料を片手に、カバンの中を指でさしながら確認する。
「えんぴつ、消しゴム、定規……あ、中学校はシャーペンでもいいんだっけ」
声を出しながら、内心、ドキドキとわくわくでいっぱいだ。
だって、明日は野茨学園中等部の登校初日! 憧れの野茨に通えるんだもん!
机の上に置かれた白い封筒には、かっこいい明朝体で『野茨学園』と印字されている。宛先には『佐伯さくら 様』。
むふふっと笑いながら、今日何度目か、自分の名前を指でなぞる。
合格発表の日に、私の受験番号がホームページに載っていた時もうれしかったけど、やっぱり自分の名前が書いてあると実感がわいた。
いやあ、我ながら頑張ったよなあ。受験勉強。
自慢ではないけれど、塾の模試では最後まで合格ラインぎりぎりだったし、一度も過去問でいい点を取れなかった、私だ。
奇跡の合格を果たした時は単身赴任中のお父さんとテレビ電話をつなげて、お母さんとの三人でお祝いしてもらったんだ。
今でもあの時の嬉しさが心に残ってる。
そして、なんと言っても、あの『あさひなちゃん』が通う学園!
ふふふふんっと鼻歌を歌いながら、椅子をくるっと回して部屋中を見渡す。
壁一面には、あさひなちゃんのポスター、ポスター、ポスター!
本棚にはあさひなちゃんが専属モデルをしてる雑誌がずらーっと! 一度しか出していないCDだって三枚買った。
……高校生タレントの、あさひなちゃん。三年前、野茨学園の文化祭で、お客さんの呼び込みをしていた時の写真が可愛すぎるとバズって、大手事務所から続々とオファーが来たのがデビューのきっかけ。
それ以来、現役高校二年生ながら、ニュース番組に、バラエティーに、と大活躍!
デビューしてすぐ、超絶可愛い姿に私は大ファンになっちゃった!
私が公立ではなく、野茨に行くことを決めたのも、あさひなちゃんが通ってる学校だから。
中等部と高等部じゃ、校舎も違うし出会える機会は少ないけれど、教室だって廊下だって、あさひなちゃんが使った(かもしれない)場所! 行くしかない!
「よおしっ、明日からいっぱい聖地巡礼するぞー!」
意気込みながら立ち上がった私に、飼い犬であるトイプードルのトイが駆け寄ってきた。
「わんっ!」
「トイもあさひなちゃん、好きだもんね~! 受験終わったし、推し活、再開だ!」
トイの首あたりをわしわしなでててやると、トイは嬉しそうにクーンと鳴いた。
「さくら~、暇ならトイの散歩に行ってくれない~? 私、ご飯の準備で手がいっぱいなの~!」
一階からお母さんの声が聞こえてくる。
「よしっ、レッツゴーだ!」
トイを抱き上げると、トイは元気よくしっぽを振った。
一軒家の二階にある角っこの小さな部屋。
私は郵送で学校から届いた資料を片手に、カバンの中を指でさしながら確認する。
「えんぴつ、消しゴム、定規……あ、中学校はシャーペンでもいいんだっけ」
声を出しながら、内心、ドキドキとわくわくでいっぱいだ。
だって、明日は野茨学園中等部の登校初日! 憧れの野茨に通えるんだもん!
机の上に置かれた白い封筒には、かっこいい明朝体で『野茨学園』と印字されている。宛先には『佐伯さくら 様』。
むふふっと笑いながら、今日何度目か、自分の名前を指でなぞる。
合格発表の日に、私の受験番号がホームページに載っていた時もうれしかったけど、やっぱり自分の名前が書いてあると実感がわいた。
いやあ、我ながら頑張ったよなあ。受験勉強。
自慢ではないけれど、塾の模試では最後まで合格ラインぎりぎりだったし、一度も過去問でいい点を取れなかった、私だ。
奇跡の合格を果たした時は単身赴任中のお父さんとテレビ電話をつなげて、お母さんとの三人でお祝いしてもらったんだ。
今でもあの時の嬉しさが心に残ってる。
そして、なんと言っても、あの『あさひなちゃん』が通う学園!
ふふふふんっと鼻歌を歌いながら、椅子をくるっと回して部屋中を見渡す。
壁一面には、あさひなちゃんのポスター、ポスター、ポスター!
本棚にはあさひなちゃんが専属モデルをしてる雑誌がずらーっと! 一度しか出していないCDだって三枚買った。
……高校生タレントの、あさひなちゃん。三年前、野茨学園の文化祭で、お客さんの呼び込みをしていた時の写真が可愛すぎるとバズって、大手事務所から続々とオファーが来たのがデビューのきっかけ。
それ以来、現役高校二年生ながら、ニュース番組に、バラエティーに、と大活躍!
デビューしてすぐ、超絶可愛い姿に私は大ファンになっちゃった!
私が公立ではなく、野茨に行くことを決めたのも、あさひなちゃんが通ってる学校だから。
中等部と高等部じゃ、校舎も違うし出会える機会は少ないけれど、教室だって廊下だって、あさひなちゃんが使った(かもしれない)場所! 行くしかない!
「よおしっ、明日からいっぱい聖地巡礼するぞー!」
意気込みながら立ち上がった私に、飼い犬であるトイプードルのトイが駆け寄ってきた。
「わんっ!」
「トイもあさひなちゃん、好きだもんね~! 受験終わったし、推し活、再開だ!」
トイの首あたりをわしわしなでててやると、トイは嬉しそうにクーンと鳴いた。
「さくら~、暇ならトイの散歩に行ってくれない~? 私、ご飯の準備で手がいっぱいなの~!」
一階からお母さんの声が聞こえてくる。
「よしっ、レッツゴーだ!」
トイを抱き上げると、トイは元気よくしっぽを振った。
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