うちの訳アリ男子たちがすみません!

「むぐむぐっ」

「わ、わん太くんは私の近所に住んでるんだよねー」

 苦し紛れにうそをついた。

 聞いていたクラスメイトはいぶかしげに眉をひそめる。

「今、さくなんとかって言わなかった?」

「さ、さささ桜が見える家ってことじゃないカナー」

 我ながら苦しすぎる言いわけだよ!

 クラスメイトは不思議そうな顔をしていたけど、そこまで興味はなかったみたいで、すぐに違う話題に移ってくれた。

 ふう……。危なかった。

 男子が居候……同居してるなんてことがばれたら、一巻の終わり! 私の人生終了のお知らせだよ!

 わん太くんは純粋な瞳で頭にハテナを浮かべている。

 私はほっとため息をついた。

 男子たちと一緒に住んでることは絶対に秘密!

 あとでほかのみんなにも言っておかなきゃな。

 ちょうどその時、教室から出て行ったはずの担任の先生が戻ってきた。

 確か名前は……清水先生。

「佐伯さん、ちょっと来なさい」

 清水先生は開口一番にそう言った。

 え? 私、なにかやらかしました?

 いやな汗をかきながら足を踏み出すと、先生は付け加えた。

「……君たちも」

 先生の目線の先には、わん太くん、紫苑くん、楓くん、ミケくん、天くんの男子メンバーだ。

 え? 男子たちも?

 先生はそれ以上何も言わず、背を向けて教室の外へ歩き出す。

 ついて来いってことだよね……。

 私たちは顔を見合わせて歩き出した。

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