うちの訳アリ男子たちがすみません!
清水先生が歩いて行った先は私たちの教室がある校舎の隣の教員棟。
もしかして職員室に呼び出しってやつ?
……かと思ったら、先生は職員室を素通りして、目指すは一番奥の理事長室だ。
「いったい何なんです?」
紫苑くんの問いかけに先生はゆっくりと首を振るだけ。
先生は厚みのあるドアを開けると私たちを促した。
「さあ、中へ。……といっても、理事長は次の仕事へ行かれたので誰もいませんが」
理事長室はシンプルな部屋だった。
あるのは理事長用の机といすのみ。
「……サボテン、なんかしたの?」
「……してねえよ! お前だろ」
私のすぐ後ろでは小声でわん太くんと天くんが言い争っている。
な、何を言われるんだろう……。
私はゴクリと唾をのむ。
清水先生は机の前まで進むとくるりと私たちに向き直った。
「単刀直入に言いましょう。君たちの成績が危うい!」
……え?
先生はビシィッと人差し指を突き出して私をさす。
「まず佐伯さん! あなた入学試験でビリですよ? 自分の実力、ちゃんとわかっていますか?」
ひいぃ!
いきなり現実を突きつけられて思わずたじろいだ。
た、確かに直前まで合格ラインぎりぎりだったけど、まさか本当に合格できたのが奇跡だったなん
て……。
ビリという言葉にショックを隠しきれない。