うちの訳アリ男子たちがすみません!
私はまたテレビに向き直った。
番組では遊園地をロケするあさひなちゃんのVTRが流れている。
『今回お邪魔するのは大人気のテーマパーク・ローズパークです! 実は今回、私・あさひなとコラボさせていただいてるんです~!』
な、なんですと!
私はグイッと前のめりになった。
ローズパークはここから電車で二十分ほど行ったところにある遊園地だ。
私もお母さんとお父さんが忙しくなかった頃に、一回だけ行ったことがある。
ジェットコースターとか観覧車とか、おなじみのアトラクションのほかにも、屋内施設が充実していてめっちゃ広いんだ~!
あさひなちゃんがコラボしているのは屋内の新しいところらしい。
活躍中の彼女自身がプロデュースする、インフルエンサーを疑似体験できる体験型アクティビティだって。
これは気になる!
「これ、面白そうだね。さくらちゃん、行ってみたいんじゃない?」
楓くんが私の方に振り向く。
もちろんだよ! あさひなちゃんのファンとして、絶対行かなきゃ!
番組ではあさひなちゃんがパークの説明をしてくれている。
『気になる料金ですが、パーク入場料は大人3000円、中学生以上の学生の方は2400円、小学生は1500円。アトラクションフリーパスは別途2000円です!』
私たちはフリーパスも合わせたら、4400円か!
「うっ、高い」
思わず声に出た。
受験が終わってあさひなちゃんのグッズをいっぱい買っちゃったから、私、金欠なんだよ~!
あさひなちゃんの映画もあることだし、お小遣いをなくすわけにはいかない。
今回ばかりはあきらめるしかないか、と肩を落としていたところ、仕事が終わったお母さんが帰ってきた。
リビングに入ってきたお母さんの右手に握られているのは、一枚の紙。
「さくら、これどう?」
渡してきたのは、なんとローズパークの学生限定割引券だ!
なんとタイミングのいい!
「これ、どうしたのっ⁉」
「同じ寮母をやってる方からもらってきたのよ。旦那さんが関係者らしくて、お子さんにどうぞって」
テレビを見て、「あら、ちょうどこれじゃない」とつぶやく。
楓くんはにこっと笑って言った。
「ねえ、週末に行ってみない? さくらちゃんに楽しんでほしいな」
「え? でもみんなサッカーがあるし……」
部活もあるんじゃ?
ところが、ミケくんがスススッと近づいてきて、私の両手を取った。
ミケくんは私の手を自分の手で包みこみ、柔らかな笑みを見せる。
「監督の都合で今週末は練習ないの。僕ぅ、さくらとデートしたいなぁ!」