独占彼氏〜独り占めして、何が悪い〜
「お 着いたな」

 

昨日お前が目を輝かせてたリングのコーナーの前で
足を止める

横顔をちらっと見てからゆっくり店の中へ入った

 
「どれだっけ?美女と野獣のやつって」

 

ガラスケースを指で示しながら
お前の顔を覗き込むようにニヤッとする

 

「まさか忘れたとか言わねぇよな?

俺の前であんだけ目キラキラさせといてさ」

 
"忘れてないもんっ"と言いながら指輪を探すお前をみて

すっげぇ幸せな気持ちになれた


「あ!っこれ!!」

 

俺の顔を見た瞬間

満面の笑みを浮かべたお前がケースを指差す

 

「うっわぁあ...やっぱりこのリング可愛い」

 

お前の笑顔見た瞬間

胸の奥まで

じんわりあったかくなる

 

「可愛いのはそれ見て喜んでるお前だよ」

 

そっと店員を呼び 迷いなく言う

 

「これ ください」

 

受け取った箱をそのままお前の手に預ける

 

「開けるのは誕生日当日だな」

 

箱を抱えたお前は自然と笑顔があふれてる

 

「すでに待ちきれないよ...

アオ本当にありがと...」

 

嬉しさがあふれたまま

ぎゅっと抱きついてくるお前に

俺の鼓動が跳ねる

 

「おい...ここ外...人目あるぞ」

 

そう言いながらも 俺はしっかり抱きしめ返す

頭を優しく撫でて耳元に唇を寄せた

 

「待ちきれなくていい

誕生日当日は今日の何倍も幸せにしてやるから

 

俺を選んでくれて ありがとうな」

 

心の底から出た素直な言葉

ずっとこの時間が続けばいいのにって思いながら

手をぎゅっと握り返す

 

「指輪も買ってもらえてわたしすでに

大満足なんだけど...

次どこ行ってるの?」

 

歩みを止めない俺の横で顔を覗き込んでくる

 

「まだ満足すんなよ 今日のは前祝いって言っただろ」

 

覗き込んでくるお前にニッと笑い返してふっと視線を前へ戻す

 

「次はな
ちょっとした思い出作り

あえて王道すぎる場所

でもお前となら絶対に特別になるやつ」

 

手を少し強く握ってから耳元で囁く

 



...よし、着いた




「観覧車乗るぞ

俺とお前だけの誰にも邪魔されない空間で
もう一個特別なことすんだよ」

 

顔を上げたお前の先に 大きな観覧車がそびえてる

 

「へ?観覧車?

特別なことって...まさか頂上でキスとか
ベタなやつやろうとしてたりする?」

 

イタズラっぽくニヤニヤしながら俺の顔を覗くお前に
思わず苦笑いがこぼれる

 

「ばーか」

 

お前の頭をぽんっと軽く叩きニヤッと笑う

 

「そんなベタすぎることしねえよ

お前が期待してるなら話は別だけど

...でもな」

 

観覧車を見上げながら お前の手をぎゅっと強く握る

 

「頂上でやるのはキスだけじゃねえよ

特別ってのはベタと違ぇんだよ

俺とお前だけの特別見せてやるから」

 

案内係に促されて
俺たちはピンクのゴンドラに乗り込んだ

 

「アオ?さっき言ってた俺とお前だけの特別ってなに?
何見せてくれるの?」

 

観覧車のドアが閉まり ゴトッと動き出す

 

「焦んなよ 言っただろ 頂上までのお楽しみって」

 

隣に座りながらそっと手を重ねる

外の景色なんて見てない

見てるのはお前だけ

 

「俺とお前だけの特別ってのはさ

今ここにしかない空間でお前にしか言わない言葉を

お前だけのために伝えるってことだよ」

 

観覧車がじわじわ上昇していく
その間ずっと手を繋いだまま静かに時を重ねる

 

「頂上着いたら言うから ちゃんと聞けよ?」

 

頂上が近づく頃
俺はお前の手を引いて向かい合うように座り直す

 

「えれな

お前と出会ってから俺変わったんだよ

不器用で素直になれなくて

でも本気でお前のこと守りたいって思ってる」

 

ポケットからさっき買った指輪の箱を取り出してそっと膝の上に置く

 

「これは前祝いとかじゃない、ちゃんと意味がある
俺はこれから先もお前の隣で生きていきたい

そういう気持ちで選んだ」

 

そっとお前の薬指を取り 箱からリングを出して滑らせる

 

「好きだよ、えれな
誰よりも何よりも大事にしたい

これが俺とお前だけの特別だよ」

 

「え? だってこれ当日に渡すってさっき」

 

薬指の光るリングを見つめて お前の目が少しずつ潤んでいく

 

「ああ 言ったな でもな...お前のその顔見た瞬間に
俺だってもう待ちきれなかったんだよ

誕生日までなんて我慢できねえ

今渡したくて 今伝えたくて 今ここで
お前を喜ばせたかったんだよ」

 

そっとお前の頬に触れ 親指で優しく涙を拭う

 

「泣くなって言いたいけど泣いてくれて嬉しいって思ってんのも事実」

 

観覧車の頂上で静かに見つめ合う

 

「ありがとうな えれな 俺の隣を選んでくれて」

 

「嬉しい...すごく綺麗な指輪」

 

指輪を見つめたあと 俺の目をまっすぐ見つめ返してくる

 

「こちらこそ わたしを選んでくれてありがとう」

 



そっと唇を重ねる




お前の瞳に俺だけが映ってるのを感じた瞬間
たまらなく愛おしくなる

 

言葉なんていらない

触れた瞬間に全部伝わる

 

「お前しかいないって この先何度でも
思わせてくれるんだろ?

そうやって俺をずっと夢中にさせてくんだろ?」

 

唇を離しておでこをそっと合わせる

 

「なあ えれな これからもずっと俺の隣で
俺のことだけ見てろ



愛してるよ」


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