独占彼氏〜独り占めして、何が悪い〜
第5章ー揺れる誕生日ー
おはよ、主役さん
朝の光がカーテンの隙間から柔らかく差し込む
俺はもう目を覚ましてて お前の寝顔をじっと見つめてた
今日はえれなの誕生日
なのに 胸の奥がざわついてる
原因は朝届いてた あの女からのメッセージだった
『今日、少しだけ会えない?話したいことがあるの』
既読だけつけて返事はしてねぇ
でも画面の向こうから妙な胸騒ぎがしてた
今はそいつを振り払うように お前の寝顔だけを見てた
えれな お前が目を覚ます瞬間 俺はどんな顔して迎えりゃいいんだろうな
ゆっくり お前のまぶたが開いて 眠そうに俺を見上げてくる
「ん...アオ おはよ」
ほわっとした声と一緒に 微笑むその顔
「おはよ 誕生日おめでとう えれな」
自然に言葉は出た
でも内心じゃ 何か重たいもんを押し込んでる
「今日は一日お前を世界で一番甘やかす日だ 覚悟しとけよ」
そう言いながら ポケットのスマホが重く感じる
「なぁ えれな 今日の予定 全部俺に任せてくれる?」
「うん いいよ」
お前はまだ眠たそうに目をこすりながら ぽそっと答えてから
「ああ そうだった わたし今日誕生日だ」
ふわっと笑いながら顔を近づけてくる
「ありがと アオ 朝から胸いっぱいだよ」
その手が俺の頬に触れてくる
ぬくもりが伝わった瞬間 少しだけ心が軽くなる
「何だよ まだ何もしてねぇのに」
手を取って そのまま額に唇をそっと落とす
「お前が今日笑ってくれてれば それだけで良かったはずなのにさ その顔見てたら もっといろんなもん与えたくなる」
そのまま指を絡めて優しく握る
「だから今日は全部 俺のエゴでお前を幸せにさせてくれ」
少し顔を近づけて目を見つめたまま
「プレゼントも 場所も 言葉も 最後に ひとつだけ話させてほしいことがある それでもいいか?誕生日の主役さん」
「えー?なにそれー?」
おどけた声で笑いながら俺の目をじっと見てくるお前
「アオからの“おめでとう”が最高のプレゼントなのに」
そう言いながら 指につけたリングをチラッと見せてくる
「それに もうプレゼントもらってるし」
「ほんとお前はさ」
無邪気な笑顔がまぶしくて
一瞬だけ胸がぎゅっと締まる
だけど その指輪の光を見て 俺の表情も緩んだ
「ああ でもな プレゼントってのは一個じゃ足りねぇ」
手を取ってリングにそっとキスを落とす
「アオがくれるものに 足りないなんて思ったことないよ?
でも...楽しみにしてるね プレゼント」
「お前に贈りたいもんは いくらあっても足りねぇくらいあるから」
ゆっくり目を細めながら囁く
「今日は特別に 午前と午後でふたつ計画してる」
「午前と午後!?なにそれ」
パチっと目を丸くして驚くお前の声に 少し笑いがこぼれる
「あぁ
今日一日 ぜんぶ俺に預けろよ」
「アオ ありがとね?
今日一日よろしくお願いします」
おどけた仕草で小さく会釈するお前
その笑顔に完全にやられてる
「あ...午前の部間に合わなくなる?
急いで準備してくるから待ってて」
鼻歌を歌いながら支度に向かっていくお前の後ろ姿を目で追う
「ほんと ずるいよなお前」
ポケットに手を突っ込み
少し照れ隠すように息を吐く
「“よろしくお願いします”とか言われたら どうしたって守りたくなるだろ」
お前の鼻歌が小さく遠ざかっていくたびに
ポケットのスマホがまた重くなる
午前の部は笑顔で終わらせる
午後の部で決意を渡す
小さく息を吐きながら 扉の向こうを見つめる
「はやく戻ってこいよ 主役さん」