私のお世話がかり
◯大学
大教室の後ろの方の席に座る双葉と部長
部長は身体を斜めにして、教室の前方の扉を見た。
双葉の視界には黒板の端と扉、太い柱が写っている。
部長「この席にいると、黒板しか見えないよね。黒板をメインに描きたいときはそれでもいいんだけど、たとえば……そう。扉から入ってくる人物を描きたいときは、視線は扉の方を見る」
双葉はうなづく
部長「ここから見ると、扉はまっすぐじゃないよね。このままだとバランスを取るのが難しいから、ここに消失点を書くんだ」
双葉「消失点?」
部長「顔で言えば鼻みたいなものよ」
部長はスケッチブックの右端に黒い点を描いた。
部長「でも、このままだと後ろの柱が描けないじゃない? だから、今度は柱をそれっぽく見せるために、反対側にも消失点を取って、その間に合わせるように背景をデッサンするの」
部長が慣れた手つきでサッサッと鉛筆を動かすと、スケッチブックにあっという間に教室の構図が広がって、双葉は拍手した。
双葉「すごい、すごい、部長って魔法使いみたいですね!」
部長「これくらいなら誰だってできるよ」
双葉「できないです!」
双葉 (こんなに上手ってことは、たくさん練習したんだろう。すごいなぁ。私も漫研に入ったからには、見劣りしないように頑張んなきゃ! )
双葉が目を輝かせると、部長はそっぽを向いてぼそっと呟いた。
部長「……漫画家になれると思う?」
双葉「なれます! 絶対なれますよ!」
◯二人の後ろ姿
反対側の後方出入り口付近に立つ人影。
最上「……」
薄手のバイカラートレーナーにゆるシルエットのチェックのパンツを履いた最上が、ムスッとした表情で二人のやり取りを眺めていた。
双葉 (部長って漫画家を目指してたんだ! そうだよね。漫画研究部だし! そういう人が多いのかも)
(夢に向かって励まし合うっていいなぁ……! )
双葉「なんていうペンネームで描いてるんですか?」
双葉がわくわくしながら問いかけたとき。
??? 「教えてあげよっか」
誰かが後ろから声をかけた。
大教室の後ろの方の席に座る双葉と部長
部長は身体を斜めにして、教室の前方の扉を見た。
双葉の視界には黒板の端と扉、太い柱が写っている。
部長「この席にいると、黒板しか見えないよね。黒板をメインに描きたいときはそれでもいいんだけど、たとえば……そう。扉から入ってくる人物を描きたいときは、視線は扉の方を見る」
双葉はうなづく
部長「ここから見ると、扉はまっすぐじゃないよね。このままだとバランスを取るのが難しいから、ここに消失点を書くんだ」
双葉「消失点?」
部長「顔で言えば鼻みたいなものよ」
部長はスケッチブックの右端に黒い点を描いた。
部長「でも、このままだと後ろの柱が描けないじゃない? だから、今度は柱をそれっぽく見せるために、反対側にも消失点を取って、その間に合わせるように背景をデッサンするの」
部長が慣れた手つきでサッサッと鉛筆を動かすと、スケッチブックにあっという間に教室の構図が広がって、双葉は拍手した。
双葉「すごい、すごい、部長って魔法使いみたいですね!」
部長「これくらいなら誰だってできるよ」
双葉「できないです!」
双葉 (こんなに上手ってことは、たくさん練習したんだろう。すごいなぁ。私も漫研に入ったからには、見劣りしないように頑張んなきゃ! )
双葉が目を輝かせると、部長はそっぽを向いてぼそっと呟いた。
部長「……漫画家になれると思う?」
双葉「なれます! 絶対なれますよ!」
◯二人の後ろ姿
反対側の後方出入り口付近に立つ人影。
最上「……」
薄手のバイカラートレーナーにゆるシルエットのチェックのパンツを履いた最上が、ムスッとした表情で二人のやり取りを眺めていた。
双葉 (部長って漫画家を目指してたんだ! そうだよね。漫画研究部だし! そういう人が多いのかも)
(夢に向かって励まし合うっていいなぁ……! )
双葉「なんていうペンネームで描いてるんですか?」
双葉がわくわくしながら問いかけたとき。
??? 「教えてあげよっか」
誰かが後ろから声をかけた。